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時代考証2
時代考証1では、原典が出版された時点、1986年の時代状況を考察した。
今回は原典のストーリーが想定している時代を推測してみる。ほぼ原典出版時と同時代と思われるが、念のため証拠を挙げていく。
・国鉄時代(JRではない)。原典出版時はまだ国鉄時代なので当然。
・高校でCAI授業が存在している。 これは疑問。アメリカでは相当前からCAIが実践されていたはずだが、日本においては、CAIが可能になるほど学校にコンピュータが整備されたとき(1990年代後半)には、すでにCAIという言葉は死語になっていたはず。
・日欧貿易摩擦が重要問題だった。これはほぼ原典出版時と一致する。
・インターネットが登場しない。これは作者がパソコン通信界出身のための限界だと思われる。インターネット自体の歴史は1970年以前にさかのぼる。
・同様にUnixやサーバという単語も登場しない。パソコン(マイコン)と汎用機が一般人にとってのコンピュータであった1980年代では当然である。
以上のように、原典で描かれている世界はほぼ原典出版時と同時代と考えてよい。少なくとも、執筆当時には存在しない「未来技術」を仮定してはいない。そのため出版当時の読者は、より現実感を感じながら原典を読むことが可能だったはずだ。しかし、現在(2009年)の常識で読み直してみると、コンピュータやインターネット、世界情勢分析などに物足りなさを感じてしまうのも事実だ。今現在原典(デジタル・デビル・ストーリー)が絶版状態なのも、ここらへんに理由があるのだろう。
2009/07/01 (Wed.) Trackback() Comment(0) 女神転生原典講読
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